お灸堂×デザイン

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vol.3「お灸堂×デザイン」

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生まれて30歳そこそこの人生ですが「今までで一番しんどかったのはいつ?」と聞かれたらそれは6年前、往診専門ですきから鍼灸院という屋号で活動をしていた時期です。1人目の子供が生まれ、妻のお腹の中には2人目の子供にいました。なりゆきで開業したものの思うように患者さんは増えず、収入の収入は雀の涙程度。食費や生活費をギリギリまで切り詰めても「月末の支払ができない、、、どうしよう」と毎晩夫婦で家族会議の日々です。人目を避けて日が明ける前にポスティングもしましたが成果はゼロ。資金も尽き欠け、ラストチャンスのつもりで撒いた新聞広告もリアクションなし。「あんな一生懸命学んだのに東洋医学なんてなんの役にも立たないじゃないか」と半ばやけくそにもなりながら、家族を養うことができない自分が情けなくて毎日消えてしまいたい気分でした。

そのまま鍼灸師の道をあきらめるという選択肢もありましたが、どうせ辞めるのなら最後に自分が一番してみたい形で仕事をしようと、有り余る時間で本や人から改めて仕事を学び、思いついたのがお灸専門という今の治療院のモデルです。そういった意味では僕は鍼灸師になって初めて本気でデザインをしたのは「新町お灸堂」だったのかもしれません…というわけで。

今回のセミナーにご興味を持って頂いた方はおそらく「デザインに興味がある」または実際に「デザインしたい」と思ってご参加頂いていることと思います(もし違う場合はこっそり教えて下さいね)。今回はお灸堂を通して私が考えるデザインの基本についてお伝えしていきたいと思います。

デザインの流れについては前回のブログで触れましたがデザインが起こる前段階としてまず課題や目的が発生します。そしてそれを解決するためにデザインが行われます。私の場合は解決するべき課題は鍼灸師と患者さんのミスマッチもしくは単純に「患者さんが増えない」です。そしてこの課題をデザイン(解決)するためには3つの要素が必要になると考えています。

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①やりたいこと(ヴィジョン)
②できること(持っている技術)
③あいて(だれに?)

 
逆に言うとこれらの要素のどれかが抜け落ちた場合デザインが困難になります。なので、もしあなたが「デザインをしたい」と思うのならまず解決すべき課題を発見して、さらにこの3つの要素についてを埋めていかなければなりません。以下はお灸堂(鋤柄)の場合。

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お灸堂のデザイン

①やりたいこと(ヴィジョン)…わたしが伝えたいこと、表現したいこと

東洋医学の独自の考え方、異なる視点

東洋医学で治療を行うことが最優先

・日常生活にかかわる悩みのサポート

・往診専門の経験から患者さんが落ち着ける自宅以外の場所の必要性

・慢性的なお悩みを改善するための養生の指導

 

②できること(持っている技術)…わたしが持っている技術(資源)

・お灸好き(鍼は嫌い)

・お灸が得意…糸状灸、知熱灸

・経絡治療

・若さ(親しみやすさ)

 

③あいて(だれに?)…誰に対するデザイン?どんな人

・子育て、仕事中の女性(35歳前後)

・お悩み…冷え、頭痛、疲労、めまい等、原因がはっきりしない不定愁訴。体調の変化

・状況…身体の変化、ストレス増(仕事、育児、介護などによる)、多忙

・(鍼灸に対する)インタビュー…興味はある、よくわからない、知らない、鍼が怖い

 

以上のことからデザインをするための優先事項

東洋医学で治療を行うことが最優先(道具は選ばない)

・技術を最大限生かす(脈診、お灸)

・患者さんが来院しやすくなるように(わかりやすく)シンプルさを追求する

・多忙な方でも対応できるようにする(セルフケアの充実)

 

これらを覆うことのできるデザインとしてお灸専門治療院「新町お灸堂」が生まれました。(ひとつの要素に集中せず複数の要素を行ったり来たりするのが重要。施術と同じ、陰陽は巡らさないと良い答えにたどり着けません。)特に強調しておきたいのはお灸専門が目的ではないという点ですまたこのプロセスをご覧いただければお分かりになるかもしれませんが、デザインを行う人、目的、相手が変わればそのデザインは変わります。つまり単純に誰かのマネをしてもその人にとって最適なデザインにはならないということです(外見にしてもサービスにしても)。私が皆さんにデザインが使える鍼灸師になって欲しいという意図はそこにあります。自分と患者さんと向き合いあなたらしい鍼灸院とその中身をデザインできるように学んでいきましょう。

 

セミナーでは以上の内容に加えて今までお灸堂でデザインしたものをそれぞれ簡単に解説する時間を設けます。デザインをするためのキホンのキに触れていただきたいと思います。

 

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